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Channel: 岡田美里オフィシャルブログ「まだ見ぬものがあるところ」Powered by Ameba
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京都にて、ついに私の色柄が誕生

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30代後半でエプロンのデザインをしたことが私の「なにかをつくる」ことの原点。

(世の中に、日本にあんまりないもの)

を考えて、お伝えしたい。

 

それをいつも考えています。

雑誌STORYの「ミリネット」も、まだ皆さん、これ知らないかな...

をテーマに連載していました。

 

 

 

。。。いろんなことやっていますね。

と、よく言われますが、

その時々で、意外と2~3個が同時進行しているだけです。

ひとつひとつに丁寧に向き合いたいのです。

 

 

今はエプロンはお休み中。

なぜなら順番だからです。

できることを順番にやっていきます。

 

 

 

エプロンのアシスタントちゃんが妊娠したり、

タオルバッグの担当者さんがお引越しで退任しちゃったり、

パジャマの編集者さんが転職しちゃったり、

色々な理由でストップしてしまうこともありました。

 

なにかを作ることって、

ひとりではなく、2~3人が関わるのがベストです。

そのうちひとりでも抜けてしまったら、

大きなブランドなら次の担当者さんが入るのでしょうけれど、

私のとこみたいな小さな所帯では出来なくなってしまいます。

しかも、そのアシスタントさんとでしか出来ない世界感やノリ

みたいなことってあって、

私はそのような仕事が好きです。

 

 

 

それで、残念な想いになる皆様のキモチを考えると、

すごく申し訳ないと思いますが、

「エプロン、またやってください」という声をこの頃また聞きますので、

順番に進めますからお待ちくださいね。

トートバッグも、球根もまたいたしますね。

 

 

 

さて、今回は着物です。

ここからまたマニアックな話が始まりますからお好きな方だけお付き合いください。

型友禅は、幾重にも型を重ねて色を入れていきます。

型が少しでもずれてはダメですから慎重に、とても慎重に作業が進みます。

 

染色に使う刷毛は、こんなふうに壁にかけてありました。

 

 

 

「この毛は、なんの毛ですか。」

 

「鹿の毛なんです。」

 

鹿の毛は、一本一本の中が中空になっているため、

染料をたっぷりと含み、その染料を中空にため込むので、

ボテッとですぎないというか、色沁みになりにくいのだそうです。

 

職人さんが数百年かけて知恵をカタチにして、

やっと友禅の模様が描かれることに

本当に感動しました。

 

 

さて、ついに私がお願いしていた反物を見せていただくことに。

この距離で見ますと色無地です。

ほとんど無地に見えますよね。

綺麗な藤色の色無地です。

 

 

それを拡大しますとこのような柄が。

これ、何度もご説明しましたが

型を彫って

縮緬地の反物に

型を置いて、凸と凹を並べて柄合わせしながら

鹿の刷毛で染めたものです。

 

 

私が選んだ柄は、そぼ降る五月雨が

ふわっと風に舞うような、雨粒が霧のように揺れるような柄。

「五月雨紋」

と名付けました。

 

実際の色はもっと綺麗で、

カメラの調整をどんなにしても

写る色に限界があって、

もし本物を手にされることがあったら、

(想像より、もっと綺麗!)

と感激していただけるだろうな、と思いました。

 

 

なぜなら、この藤色は白生地に染めているのではなく、

まず地色をペールベージュに全体を染めてから藤色をのせていただいたからです。

日本の伝統色でいうところの「香色」です。

 

香色とは黄みがかった明るい灰黄赤色のことで貴族趣味的な呼び名です。

丁子や香料の煮汁で染めた色で、

色相が広いです。

平安時代は色の濃淡で、淡香(うすきこう)、中香(なかのこう)、濃香(こきこう)

と呼び分けました。

また非常に高価なものとされ、源氏物語にも夕霧が香色をあらたまった訪問に

装う場面がでてきます。

大貴族は本物の丁子を使っていましたが、一般的にはベニバナとクチナシを

掛け合わせて染めた色を香色と呼んでいました。

(日本の伝統色より)

 

 

白生地との境目に、ペールベージュ(香色)のにじみが見えると思います。

ベースは香色です。

 

香色と藤色のトーンが溶け合って、

なんとももいえない「いい色」になりました。

そして八掛(着物の裏からチラッと見える生地)も、

丁寧に選んで染めていただきました。

 

 

さらに胴裏(他人には見えないけれどオシャレさんならここまで)も

普通に白ではない、「とも薄」

を選びました。

同じ藤色よりちょっと薄い、同じ系統の薄藤色です。

この色柄は、(世の中に、日本にあんまりないもの)です。

私のオリジナルで藤色も作っていただきましたから、

他にない(世の中に、日本にあんまりないもの)になりました。

 

 

着物がヤフオクや古着屋さんなどによって

コスチューム化している現代。

それを否定はしませんが、

色無地だけは、ちゃんと仕立てる...

そんなふうに考えていけたら。

 

藤色だけど、老けてみえない、

フレッシュな品のある色味。

 

 

来月、仕上がった着物で撮影して、

また皆様にご覧いただけたらいいなと思います。


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